健康アドバイス
vol.09「糖尿病にならない食事学」
糖尿病は”文明病”とも”百万人の病気”ともいわれています。
生活水準が向上し、食生活が豊かになるにつれて増加するので、もっとも警戒すべき成人病のひとつです。
ご存知のように糖尿病は、インシュリンという、膵臓でつくられ、血糖値を調整するホルモンが不足したり、その働きが阻害されたりして起こります。
血液中の糖は、生命を維持し活動するための大切なエネルギー源です。少なすぎても(低血糖症状)多すぎても(糖尿病)体に重大な影響があります。血糖は空腹時で100mg/dl前後ありますが、食後急速に増え、1時間で130~150mg/dlに上昇します。そこでインシュリンが動員され、2時間後には元の100mg/dlに安定させるのです。ところがインシュリンの不足や阻害で血糖が下げられなくなると、何か食べると糖の量が上がりっ放しの状態になってしまいます。さらに重症になると、空腹時の血糖値まで、正常な人の食後以上になります。異常に増えた血糖は、血管をボロボロにし、肝臓・膵臓・腎臓に大きな負担をかけます。動脈硬化が進み、脳卒中・狭心症・心筋梗塞の原因となります。網膜の毛細血管が侵されると失明することもあります。腎機能が弱まってむくみ・高血圧などの症状が起こり、進行すると尿毒症となります。
しかし、糖尿病は初期にはまったくといっていいほど自覚症状が出ません。放置され、5~10年たって、合併症が起きてから気づく例が多いのです。
定期的な健康診断による早期発見が大切なのです。遺伝的要素があった人は、年に1、2回は尿検査を行いたい。
精密検査も簡単にできます。ブドウ糖液を飲み、血糖値を定時に測定するだけです。重症だと、血糖値は400~500mg/dlまで上昇、飲んで2時間でもほとんど減少しません。
糖尿病は大変怖い病気ではありますが、食事療法と運動療法でうまくコントロールすれば、天寿を全うすることは容易です。そこで、糖尿病患者が制限されている食品は、ミドルなら健康人でも多食を避けるようにしましょう。
コーラ、甘い加工乳、清涼飲料水、砂糖とたっぷり入れたコーヒー・紅茶、生でないジュース。塩辛、塩分の多い干物・漬物・梅干。カレーなどの刺激物。アルコールの多飲。いずれも少量ならとっても問題ありませんが、控えましょう。
また、日本酒やビールには糖分があるが、ウィスキーや焼酎にはないから安心というのは誤りです。アルコール自体が糖類の仲間であり、かつ1日のトータル摂取カロリーが問題なので、飲み過ぎはいずれにしても害なのです。
運動も、糖尿病を防ぐ上で有効です。スポーツは理想的ですが、通勤の途中ツマ先立ちで歩く、エレベーターを使わず歩くなどちょっとした工夫を長続きさせるのがコツです。